ペット先進国アメリカのペットフードに関する法律

 

ペット先進国アメリカのペットフードに関する法律

皆さんの中にも、ペットフードはやっぱり純国産が一番安心、と思っていらっしゃるかもしれません。が、「国産神話」も、ことペットフードに関しては少し事情が違ってきます。

国産ペットフードの信奉者に理由を聞いてみると、多くの方が、アメリカのペットフードはリコールがあるから、と言います。では、なぜ、アメリカではリコールが多いのか…答えは、アメリカにはペットフードを規制する法律があって、日本にはないに等しいからです。アメリカでは、市民の通報により急行した警官が動物虐待者を現行犯で逮捕できても、日本ではできないのと同じです。取り締まる法律がないからです。

アメリカでペットフードの法律や規則を制定するAAFCO(全米飼料検査官協会)が1900年初めにはすでに存在していたことからもわかるように、アメリカのペットフード業界は歴史もあり、見直し、改定で、より実情にあったものへと進化しています。厳しい規制があってのリコールであることを頭に入れておく必要があります。

日本の場合

日本はずっと「ペットフード無法地帯」でしたが、平成21年に初めて、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が施行されるようになりました。それまで、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」というものがありましたが、業界団体が決めた自主基準であり、違反・罰則規定もありませんでした。「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」は、農林水産大臣および環境大臣の名の下で施行された法律であり、製造法の基準を設け、使用してはいけない成分や、添加物の上限値などを明示したかなり踏み込んだ内容となっています。が、日本のペットフードの法規制は始まったばかり。100年以上の歴史のあるアメリカとは比較になりません。

アメリカにおけるペットフードの規制

アメリカでは、次の連邦政府、州政府の機関がペットフードを監督します。

  • アメリカ食品医薬品局(FDA)
  • 米国農務省(USDA)
  • 連邦取引委員会(FTC)
  • 州政府

※ 全米飼料検査官協会(AAFCO)は、ペットフードの法律や規則の基準を制定しますが、監督権限がないため、ここには含めません。

連邦政府、州政府、そしてそれぞれの地域の法律で、原料、製造方法、製造施設、安全性、ラベル表記に関して、厳しく管理します。

以下、それぞれの役割を示します。

連邦政府(国)レベルの管理

ペットフードは、連邦政府レベルでは、食品医薬品局、米国農務省、連邦取引委員会の許可が必要となります。

1. 食品医薬品局(FDA)

異物の混入など有害な物質が含まれていないこと。(リコール情報なども、食品医薬品局が発表します)

ラベルの表示が内容を正しく反映し、関係各種法令を遵守して記述されていること。

製造施設の検査(立ち入り検査も含む)

※ペットフードの製造販売における要件と禁止事項は、「連邦食品医薬品化粧品法」「公正包装表示法」で定められています。

2. 米国農務省(USDA)

米国農務省は、ペットフードのラベルと定義、ペットフードの原料の承認に関与します。

3. 連邦取引委員会(FTC)

連邦取引委員会は、広告の規制を行い、ペットフード製造会社は連邦取引委員会が定めた広告基準に従うことが義務づけられています。

州政府レベルでの管理

ペットフードは、州政府レベルで、連邦政府レベルより一層厳しい規制を受けます。

各州に独自の飼料管理法、食品医薬法、計量法があり、その州で流通するすべてのペットフードがこれらの規制を受けます。

1. ラベル検査

連邦政府レベルと同等のものが要求されますが、加えて保証成分値の記載も義務づけられます。州によっては、ラベル製造業者の登録が課せられます(アイオワ州など)。

2. ペットフード製造メーカーの登録、ライセンス取得

ペットフードを製造、販売する場合、州農務省に商品の登録および/または製造工場のライセンス取得が義務付けられており、要件は州によって異なります。

3. ペットフードの法令の遵守

製品名/保証成分値/原材料名/栄養成分の記述/その他ラベル要件の法的適合性に関し、多くの州ではAAFCO(米国飼料検査官協会)が作成した「OfficialPetFoodRegulations(公式ペットフード規定)」それと同等のものを採択しています。

4. ペットフード製造施設の検査

法律に違反したメーカーは、警告/製品の押収/責任者の収監/罰金等の厳しい処罰が科せられます。

アメリカ産のペットフード

これらの規制をクリアした上で、初めて店頭に並ぶのがアメリカのペットフードなのです。

非常にハードルの高いことがおわかりいただけると思います。アメリカの動物愛護団体などは、これでも不十分であると運動を進めています。日本では今のところリコールはありませんが、少し調べると、その理由が見えてきます。

世界一のペットフード?

アメリカ人のペットフード輸出業者が言っていたことが思い出されます。「どうしてアメリカのペットフードが世界一かわかるかい?」と。私は、「ペットフードの研究開発に潤沢なお金が使えるからかな」と返したところ、「アメリカ人が世界一頭がよいからでなく、原材料が安いからなんだよ。」との答えが返ってきました。

確かに、アメリカのスーパーで買い物をするとわかりますが、食べ物の値段が爆安です。旅行に行かれた方でも、出て来る料理の量が半端じゃなく、飲みのもの巨大ですし、前菜だけでお腹がいっぱいになり、残りは持ち帰った方も多いと思います。20キロくらい入ったじゃがいもが200円くらいで、わらじのようなステーキ肉も数百円。アメリカの豊かさを実感する出来事でしたが、これらは一般消費者用の小売価格ですから、原材料としての食料の価格がどれほど安いか想像がつくというものです。これらの資源をふんだんに使えるので、アメリカのペットフードが世界一であると、その方は言っていたのでした。世界のペットフード市場を見ても、アメリカ産のペットフードが大部分を占めており、残念ながら日本製のペットフードはありません。

まとめ

アメリカでは日本に比べ、はるかに「消費者の権利」が守られています。たばこ会社が個人に数百億円払ったとか、個人に対して会社が膨大な賠償金が支払う裁判がよくニュースになりますが、良い悪いは別にして、この「懲罰的賠償」も消費者の権利が守られていることの一面と言えます。

情報公開も進んでおり、ペットフードに関する多くの事実が公表されています。日本で販売されているメーカーのアメリカ本社のホームページを見て、初めて、BHAやBHTが使われていることがわかるといった具合です。アメリカは、不都合な事実も公表し、それを見ないで購入した場合は、購入者の自己責任とされるわけです。

リコールがあるからと全ての輸入ペットフードを否定するのはなく、今はインターネットで情報も集めやすく、正しい情報とそうでないものを見極める目は必要となりますが、日本製、外国製を問わず、確かなフードを選択するようにしたいものですね。

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